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ウェドルゲ

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済州島の中でも、特に素晴らしい景観を持つのが島の南部で、森島(ソプソム)、蚊島(ムンソム)、虎島(ボムソム)が一列に連なり、それと並行して、数100万年の火山活動が生みだした芸術作品ともいえる溶岩絶壁の連なる本島海岸線です。その中央部の一角で、やはり観光客が一度は訪れてみたいというのがウェドルゲです。

 

済州島の基底が形成されたのは、新生代第三期の末期(260万年〜120万年前)と考えられ、第一噴出期と呼ばれます。基底は玄武岩、堆積岩、花崗岩などからなっています。原始の済州島は120万〜70万年前の第二噴出期に西帰浦堆積岩層から玄武岩、粗面岩が噴出し南部の海岸線を造ったと考えられています。

 

その時代に現れた奇岩の一つがウェドルゲと呼ばれる高さ20m、周囲10mの海面から突き出した岩です。名前の意味は、一人寂しく立っている「孤独な岩」というものですが、それが人の姿にも見えることから、ウェドルゲにまつわる伝説も生まれました。

 

一つは中の良い老夫婦にまつわる話です。お爺さんは漁師をしていましたが、あるとき漁に出かけ、激しい嵐に襲われ、とうとう帰らぬ人となってしまいました。おばあさんは毎日浜辺に立ってお爺さんの帰りを待ちましたが、再びお爺さんを見ることはありませんでした。そのままおばあさんは岩になったという伝説です。ウェドルゲの別称が「ハルマンパウィ」(おばあさんの岩)と呼ばれる理由です。ウェドルゲを見ると頂上には何本かの松が茂り、丁度天を仰ぎ、手を合わせて祈る婦人の姿を連想させるのも、そのような伝説が生まれた背景になっています。なお、ウェドルゲから10mほど離れたところにある岩は、おばあさんが岩になった後、お爺さんの遺体が上がって、おばあさんの岩と一つになったとされ、これもまたそのようなお爺さんの姿を連想させる形をしています。

 

もう一つの説話は、歴史の史実に関連するものです。かつて、済州島も元の支配下に入った時代がありますが、高麗朝の末期、中国が元の支配から明に変わった際、済州島に残った元の残党勢力(牧胡)を滅ぼすために、崔瑩将軍率いる軍隊が派遣されました。激戦の末、牧胡軍は済州島の沖合の虎島にこもりましたが、その時崔瑩将軍はウェドルゲを巨大な武将に装ったと言われます。それを見た牧胡軍は戦いを諦め、自害して果てたという伝説です。それで、ウェドルゲには「将軍岩」という別名もついています。

 

ウェドルゲの見どころの一つは、韓国の大河ドラマ「チャングムの誓い」の中で、チャングムが、済州島に島流しにされた時のロケの現場でもあるということです。宮廷の調理師から宮廷医女へと変身を遂げて行った出発の場所として描かれています。

 

ウェドルゲの東側には通常観光客は余り足を運ばないソモリパウィ(牛頭岩)と呼ばれる景色のよい場所があります。岩場を下ると静かに釣りを楽しむことも出来ます。ソモリパウィからさらに東に向けファンウジ海岸があります。海岸にそって切り立つ岩壁にはかつて日本軍が掘った人工洞窟が12個連なっています。第二次大戦も末期の1945年初頭、フィリピン・グアム島まで失った日本軍が米軍の本土上陸に備え「決7号作戦」として済州島を中心とする作戦を展開しました。7万の精鋭部隊を集結させ、済州島を要塞化するため、自爆用魚雷艇を隠すための洞窟、自爆戦闘機用滑走路などを造りましたが、その一つがファンウジ海岸に残っているのです。コバルト色の海と木々の緑の美しさが、歴史の悲しみをより強く感じさせます。

 

チャングムのドラマでは、西南海岸の松岳山に造られたそのような人工洞窟の一つが最終回のロケで使われました。悲劇の過去が新しい愛の記憶に塗り替えられてゆくのは素晴らしいことです。

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